【書評】『もしドラ』はドラッカーの「マネジメント」を読んだことがないビジネスマンにオススメする一冊!
ビジネス書を読んでみたいけど、なんだか難しそうだな~
そんなビジネスマンには『もしドラ』をオススメするよ★
こんにちは、通勤電車で毎日読書をしている青井(@blue_mooon_blog)です。
今回は『もしドラ』でおなじみの『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』をレビューします。
この本は若手~中堅のビジネスマンにぜひ読んでもらいたい一冊です。
ネタバレはないので安心してね。
1.『もしドラ』とは
1-1.もしドラのあらすじ
舞台は東京都立の弱小野球部。
高校二年生の川島みなみは、病に倒れた親友の宮田夕紀に頼まれ野球部のマネージャーを務めることになった。
マネージャーのことを理解するために書店でピーター・F・ドラッカーの「マネジメント」を購入するが、この本は経営者や起業家のための本であることに気づき落胆する。
しかし、「マネジメント」の内容が野球部の組織づくりにも活かせることに気づき、次第に夢中になっていく。
みなみと夕紀、そして野球部の仲間たちが、ドラッカーの教えをもとに力をあわせて甲子園を目指す青春物語。
1-2.もしドラの作品について
もしドラは2009年に発売され、累計発行部数が270万を突破する大ヒットを記録しました。
これは出版元であるダイヤモンド社創業以来のミリオンセラー作品でもあります。
著者である岩崎夏海さんがブログに書いた記事が、偶然ダイヤモンド社の編集者の目に留まり、もしドラは書籍化に至りました。
のちに一世風靡を巻き起こしたこの作品が、偶然にも世に広まったことには驚きですね。
その後、アニメ化、マンガ化、そして元AKB48の前田敦子さん主演で映画化もされました。
また2015年には、後編となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「イノベーションと企業家精神」を読んだら』(もしイノ)が発売されています。
1-3.もしドラの著者 岩崎夏海さんについて
著者の岩崎夏海さんは非常に変わった経歴をされています。
芸術大学卒業
→ 放送作家
→ AKB48アシスタントプロデューサー
→ ゲーム・ウェブコンテンツの開発
→ 小説家
→ 出版社社長
岩崎さんはもともと本をたくさん執筆されていたわけではなく、もしドラは作家として初めて発売された作品です。
そして、2016年からは岩崎さんの祖父が創業者であり『はれときどきぶた』などで知られる児童書出版社・岩崎書店の社長に就任されています。
1-4.もしドラの読書時間
私は読書をするときにストップウォッチアプリを使って正確に読書時間を記録しています。
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もしドラの読書時間は…
2時間55分!
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1日1時間の通勤時間の読書でも3日で読み上げることができました。
文章量でもあとがきを含め272ページありますが、テンポがよくスラスラ読めました。
また、経営書という難しい題材を扱いながらも、難しい表現を使わず非常に読みやすい本でもありました。
ただ私は電車の中で読んでおり、書評のために読み込んでいるので、集中した環境であればもっと短時間で読めるでしょう。
2.もしドラの感想
次に、私がもしドラを読んだ感想やこの本の魅力を3つご紹介します。
2-1.野球部の顧客とは何ぞや?
この本の面白さは"高校野球 × ドラッカー"という接点のない2つのものを、うまく融合させているところにあります。
例えば物語の序盤に、主人公・みなみちゃんが「野球部の顧客は誰か?」と悩むシーンがあります。
「試合を見に来るお客さん」という答えのわかりきった問いではないことは理解しつつも、しっくりくる答えを出せないでいました。
そのとき、将来起業家を目指している野球部員でドラッカーの大ファンでもある二階正義に相談することにより、「野球部の顧客は誰か」「野球部の定義とは何か」の答えを導き出すことができ、前に進むことができました。
このように、ドラッカーの「マネジメント」を高校野球に当てはめていくアイデアが面白く、読み進めていくことで徐々にストーリーに引き込まれてしまいます。
2-2.ストーリー終盤の展開は好みが分かれる
もしドラは基本的には何か壁にぶつかるたびに、みなみちゃんが「マネジメント」を読んで問題を解決していくサクセスストーリーです。
中盤までは「マネジメント」を引用しながら、みなみちゃんたち野球部が次はどのように課題を乗り越えていくのかワクワクしながら読み進めていましたが、終盤はほとんど「マネジメント」を開くこともなく急にストーリー感が強まります。
まず、野球のシーン。
作中で最後に描かれている試合では、勝負どころでの伏線の回収の仕方が読めてしまい、"裏切られた感"があまり感じられませんでした。
そして、親友夕紀ちゃんとの終盤のシーン。
まるで最初から映画化されることが決まっていたかと思うくらい、多少強引に感動シーンを作ったように感じてしまいました。
筆者もあとがきで秋元康さんに影響を受けたと言っていますが、終盤で少しエンターテイメント性が強まりすぎた気がします。
ただ、この本を読んで涙された方もたくさんいらっしゃるので、ここは好みの問題かと思います。
私は高校野球とドラッカーを組み合わせたアイデアが非常に面白く感じたので、この本の魅力はコンセプトにあると思っています。
2-3.もしドラのジャンルはビジネス書!?
この本のジャンルは?と聞かれると、答えは"小説"であることは間違いありません。
ただ、私はビジネス書としての側面にも価値があると感じました。
なぜなら、ドラッカーの教えと同じようなことを会社でも教育されているからです。
例えば打撃も守備も苦手だがチームで一番足の速い朽木文明は、自分がレギュラーであることに悩んでいるシーンがあります。
このときも、ドラッカーの教えである「自分の仕事が組織の成果に結びついている」と感じさせるために、責任とやりがいを与える工夫をすることで乗り越えています。
「人を生かしなさい」と言われても何をどうすれば良いか分かりにくいところを、この本では具体例を示すことで読み手に気づきを与えてくれます。
みなさんも子供に足し算や引き算を教えるときには、「りんごを3つ買ってきて、1つ食べたから~」と具体的にイメージしやすいものに例えて説明するはずです。
本書では、文章で読むだけでは理解しにくいドラッカーの「マネジメント」を、高校野球を用いて説明してくれています。
そのため、難しい本が苦手な方でもこの本を読めばドラッカーの教えの基本は理解することができ、ビジネス本への導入書として有効です。
また、この本を読みやすくしている要因をもう一つご紹介します。
それは表紙絵です。
普通小説では文章の描写から読み取って、登場人物の顔や声などのイメージ像を読み手の中で自由に作っていきます。
一方、本書では表紙絵に主人公・みなみちゃんが描かれており、また所々にある挿し絵により主人公のイメージを脳内で創り出すという読者の負担を減らすことで、読みやすさを巧妙に作り出しています。
みなみちゃんのモデルがAKB48ということもあり、アイドルのような風ぼうで一見ライトノベルのような装丁ながら、本の内容はビジネス書としての学びも多く、幅広い層から読まれる要因になっていると思います。
3.もしドラのまとめ
では最後にポイントをまとめます。
この本を読むことで組織をマネジメントすること、またそのリーダーの役割は大事だと改めて気づかされます。
特に若手~中堅ビジネスマンには今後の会社生活の中で役立つはずですが、ビジネスマンだけでなく、文化祭の実行委員でも、地域の自治会の役員でも、誰かの上に立つ人には是非読んでほしいと思います。